2013年11月16日土曜日
出汁の極み 「イワシの焼き干し」
日本の和風出汁として鰹節、昆布、煮干し他があげられる
その中で煮干しの変種として位置づけられるのが「焼き干し」です
煮干しは大釜で茹で魚を煮出すことによって脂分を落とす方法だが、煮出す事によって
残念なことに旨み成分も一緒に抜けてしまう
「焼き干し」は炭火でじっくり焼き、火を通す事によって脂分を落とし独特の濃厚で
深みのある物に・・ その為煮干しの3~5倍の濃厚な出汁が取れると言われてる
最近マスコミに取り上げられたせいもあり和食料理家以外の人にも脚光を浴びるようになった
青森の「焼き干し」つくりの産地は陸奥湾の平館海峡をはさんで下北半島の脇野沢
(むつ市)と対岸津軽半島の平館(外ヶ浜町)があげられる
「焼き干し」に使われる小魚として九州のアゴも有名だが青森の場合は「カタクチイワシ」
「マイワシ」「ウルメイワシ」「小アジ」を使用する 特に「カタクチイワシ」はアミノ酸の
含有量が多く価格も別格となるらしい
例年5月ころよりイワシが獲れ始めるが8月までのイワシは中・大型で脂が載り過ぎ
「焼き干し」には不向きだ
8月のお盆頃から脂分の少ない小型の物が獲れ始め「焼き干し」作りが
本稼動し2月過ぎまで続く
大正初期より始められたイワシの定置網漁で収穫されたイワシを水揚げ後新鮮なうちに
殆ど手作業で3日~1週間かけて商品化する
その行程は 1 : イワシの頭と腹わたを取り水洗いをする
2 : 折り板に並べて軽く乾燥させる
3 : 竹串に刺して折り板に並べる
4 : 船小屋(番屋)の中の長炉に串を並べ焼く
5 : 焦がさない様に両面を均等に焼く
6 : 熱い内に串を抜き折り板に並べ天日干しにする
7 : 1日に2回表裏を返し、3~7日干して完成
近年作り手の減少や高齢化、そして「カタクチイワシ」等の減少によりイワシの「焼き干し」も
価格が値上がり傾向です
ちなみに青森市のアウガ地下の公営常設市場での価格は「煮干し」-100g=¥150~・
「焼き干し」=¥900~¥1200(鰯の大小・種類により)・「アジの焼き干し」=¥450
(H24年5月時点)
そのせいもあってか「イワシの頭付き焼き干し」や「小アジの焼き干し」が廉価な為もあり
生産が増加してるようだ 使用するときに頭と腹わたを千切る手間が必要だが
品質そのものは同じ物だ
「小アジの焼き干し」は「イワシの焼き干し」比べ出汁の度合いが薄く柔らかい味の為
弱冠多目に入れて出汁取りが必要
地元青森では一般家庭以外に津軽ラーメン(青森ラーメン)や津軽そば、帆立の貝焼きや
煮物、お吸い物や味噌汁等にイワシの「焼き干し」を使用する店がまだまだあります
また、高級和食料理店の料理長の隠し味にも使われてると聞いた事もあります
機会がありましたら是非イワシの「焼き干し」やその滋味溢れる懐かしくも優しい
出汁を使った料理をお試し下さい
きっと貴方も感激するはずです
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